GOA TRANCEの影響を受けつつも『バレアリック・ムーヴメント』を背景にして独自の進化を告げたIBIZAモノ。あえてIBIZAモノと書いたのは、この流れにはDutch TRANCEだとかEpic TRANCEだとかなんだかジャンルがよく分からない程沢山あるから。が、この中でも日本にも多く紹介されてムーヴメントの中心になっているのは SYSTEM Fらに代表されるDutch TRANCEなのでその辺を。このムーヴメントは、2つの源流を持っている。一つは、もともとイビザ島が属するバレアレス諸島近辺で生まれた音楽『バレアリック・プログレッシブ』。こっちは、面倒臭いので説明は割愛するが簡単に言ってしまえばHAPPY MONDAYSみたいなMADCHESTERのロック色が濃くなってよりノイジーになった感じと言うのだろうか?BIG BEATもその範囲かな?とにかく、周りの音楽の要素全てを取り込んでミックスした音楽。それと、GOAを経由したTRANCE。どうも、現在のイビザ島に於けるTRANCEの隆盛にはGOAもかなり噛んでいるらしい。
とは言え、今となってはGOAとIBIZAは同じTRANCEと言う言葉を冠して育ったにもかかわらず全く別物。大きな違いは、支持層。GOAは昔はグレイトフル・デッドだとかジェファーソン・エアプレインがわざわざそこでプレイしてたって言うくらいで、ヒッピー系の人々とかトラヴェラー系の人々がほとんど。当然お金はあまりなく、かなりアンダーグラウンド。それに対して、IBIZAはもともとヨーロッパのリゾート地ということもありかなりリッチで華やか。当然、レイヴァーたちもGOAとは違い基本的に金持ち。実際この地でレイヴが行われるようになった背景には、トラヴェラー達がいる。しかしこれは、旅への衝動と言うよりはCriminal Justis Actにより踊る為には本国を出る事を余儀無くされた人々が旅の果てにIBIZAという楽園を見つけだしたと言うのが現実。まぁ、確かにMDMAはやっている様なんだけど、旅をしていた意味が違うし当然ニューエイジ思想みたいなものもあまり付きまとっては居ない。最初はどうだったかは分からないけど、現在のIBIZAに於けるTRANCEは冷暖房完備、トイレ完備(当然GOAはオープンエアなのでない)、VIP ROOMありの何でもありの状況。当然、それ相応のフィーも発生する。それは、ファッションやフライヤー等のデザイン周りにも商業的な意味合いが見隠れしている。まぁ、当然サウンドシステムを屋外にもっていって最後は外で踊りまくっちゃうんだろうけどね(笑)。
<2000.03.11>