【デジタル】サブスクリプションモデルが一般化して、アーティストには還元されているのか?
先日のWWDC19で、遂に”iTune”が終了すると言う何だか寂しいような時代がまた変わるなぁと言う新しい予感のようなお話が。辞める理由は、やっぱりサブスクリプションモデル。僕が、デジタル配信のメリットとして考えるのは「配信数の見える化」なのですが、色々調べてみるとなかなか持って闇が深いなぁと思うこともだんだんわかってきました。いちばんのネックは、やはり「レコード会社 v.s. アーティスト」の部分。最初の頃は、デジタルベンダー対レコード会社のしのぎあいだったようですが、レコード会社の搾取構造というか「還元したくない」理論はなかなか酷い様相です。どことは書かれていないのですが、東洋大学学術情報リポジトリに書かれた情報によると
レコード会社が受領する原盤使用料× 1 ~ 2 %×80%
などと言うなかなかふざけた契約をサブスクモデルの契約に適応しているレコード会社があるようで。2016年の文献なので、少しは改善されているかもしれませんが、逆に3年前のことなので今だに横行している可能性は高いかなぁと。冷静に考えて欲しいのですが、CDを作るとなると「製造コスト」「在庫+返品リスク」「物流費を含む流通コスト」「ディストリビューター+小売マージン」「レーベルマージン(宣伝費含む)」があります。ここに「著作権使用料」「原盤印税」「歌唱印税」が入ってコストが弾かれるわけで。
現実的には「製造コスト」「在庫+返品リスク」「物流費を含む流通コスト」は0円。と言うことで、データさえあればレコード会社はリスクゼロ。合わせて、中間流通が存在しないため「ディストリビューター+小売マージン」→「キャリアマージン」と言うことでこちらもコストダウン。何より、物を作るリスクと残るリスクがないため計算方法が全く変わるはずだと言うことは当たり前でわかる話。レーベル側のコストは変わらず発生するんだけどね。少なくとも、レコード会社側にリスクはない。合わせて言うなら、小売店やディストリビューターへの営業コストもかからないため人件費も圧倒的に圧縮されるわけです。となると、当然料率は変わってしかるべき。
大体、リスクゼロの上で過去の流通形態路に比べて圧倒的に人件費圧縮ができる状態で今だに「原盤使用料×1~2%」ってなかなか酷いにもほどがあるよね。合わせて補足しておくけど、「×80%」ってのは過去のアナログ流通路の返品リスクに対する一律ヘッジなので必要ない。では、海外ではどうなのか?
この記事、どちらかと言うとサブスク時代になって今まで以上にミュージシャン格差が生じていて中堅以下が食えなくなってきていると言う話なんだけどね。
法改正とかしない限り、この状況は打破できないとなると日本のレコード会社と契約して音楽やる理由ってなくなってくるのではないかとか思ってしまいます。と言うか、多分早晩そうやってセルフプロデュースでオンラインで組織化して動く集団が現れるでしょうね。今はそう言う時代。あ、そう言う意味ではワクワクするな。ビジネスモデル作れそうだし、なんか考えてみようかな。乗ってくれそうな人たちと、スキームでも考えてみるかね。妄想だけど、デジタル上での組み立てならうまくいきそうな気がする。僕は、いつまでも創り手の味方でいたい。
最後に、日本レコード協会の出している音楽配信売上げの直近四半期数字をのキャプチャーを貼っておきます。これみても、もはやデジタルにおける音楽摂取はサブスクに飲み込まれたなぁと言う感じです。全体の半分以上ですから。だとしたら、きちんとその流れに合わせて商流を組み直すのがあるべき姿ですよね。